
生成AIで一つの作業が早くなっても、空いた時間が別の定型業務に埋まれば、忙しさは変わりません。導入効果は「何分短くなったか」だけでなく、「その時間を何に使えたか」まで見て初めて確かめられます。
本記事では、生成AIで生まれた時間を、顧客対応や業務改善といった仕事の成果へつなげるための、簡単な記録方法を紹介します。
読了目安:約5分
POINT
今回のポイント
- 作業が早くなっても、業務時間全体が減るとは限りません
- 短縮できた時間の使い道を、先に一つ決めます
- 所要時間と使った先を一緒に記録します
タスクの短縮と、業務全体の削減は別です
パーソル総合研究所が実施した正規雇用者対象の自己申告調査では、生成AIを使うタスクの所要時間は、使わない場合との比較で平均16.7%(週26.4分)短くなりました。
一方、生成AI利用者1,500人のうち、生成AIによる業務削減時間があった人は25.4%でした。この数字は、対象タスクの所要時間と、業務全体で削減できた時間を同じものとして扱えないことを示しています。
浮いた時間は、日常業務へ戻りやすい
生成AIで業務時間を削減できた381人では、浮いた時間の使い道の61.2%が仕事でした。これは人の割合ではなく、削減できた時間の用途配分です。
さらに、浮いた時間を仕事に使った342人に複数回答で尋ねると、75.4%が日常の業務に充てています。日常業務を片付けることも大切ですが、短縮できた時間を何に振り向けるかを決めないと、改善や顧客への提案に使う時間は残りにくくなります。

使い道を先に決める、3つの手順
1.試す業務と範囲をそろえる
見積書の下書き、会議メモの整理など、AIを使う業務を一つに絞ります。どこからどこまでをAIに頼むか、最終確認は誰が行うかも決めます。
2.導入前後の時間を同じ条件で測る
下書きだけでなく、確認と修正にかかった時間も含めて記録します。数回試し、同じ種類の業務で比べましょう。
3.浮いた時間の使い道を一つ予約する
例えば週30分短くなったら、顧客への連絡、手戻りが多い業務の改善、マニュアル更新、従業員教育、AI出力の確認時間に充てると決めます。
記録は3行で十分です
詳しい報告書を作らなくても、次の3点を同じメモに残せば、次回の判断に使えます。
- 使う前:どの業務に、確認を含めて何分かかったか
- 使った後:AIを使い、確認と修正を含めて何分かかったか
- 時間の使い道:短くなった分を、何に充てたか
「見積書の下書きが30分から20分になった。短縮できた10分は、顧客への確認連絡に使った」のように、事実と使い道を短く記録します。
THIS WEEK
今週のアクション
AIを試している業務を一つ選び、
所要時間と、浮いた時間の使い道を記録してください。
時間を短くすること自体ではなく、仕事の成果へつながったかを確かめるための記録です。
次回予告
次回はシリーズ最終回です。補助金で何を買うかより先に整理したい、解決する課題と期待する効果を取り上げます。
参考情報
組合員の皆さまへ
AIの活用は、時間を短くすることだけが目的ではありません。小さく試した結果を確かめ、短縮できた時間を自社にとって大切な仕事へつなげていきましょう。